・膝痛について
膝痛とは、膝関節やその周囲に痛みや違和感を感じる症状の総称であり、日常生活に大きな支障をきたすことの多い一般的な整形外科的問題の一つです。特に中高年層に多く見られますが、スポーツ活動が盛んな若年層でも発症することがあります。
膝関節は、歩行・階段昇降・立ち座りなどの動作に関与する重要な関節であり、大きな負担がかかる部位です。そのため、加齢や使いすぎ、ケガ、姿勢の異常、筋力低下など多くの要因で痛みが生じます。
・膝痛の原因には
1.変形性膝関節症
加齢や軟骨のすり減りによって関節が変形し、炎症や痛みを引き起こす。中高年女性に多い。
2.半月板損傷
膝の軟骨の一部(半月板)が損傷し、動作時に痛みや引っかかり感を生じる。スポーツや加齢によるものがある。
3.靭帯損傷
前十字靱帯や内側側副靱帯などの損傷によって起こる。スポーツ外傷に多い。
4.関節リウマチ
自己免疫によって関節に炎症が起き、腫れや痛みを伴う。
5.滑液包炎・腱炎
膝周囲の滑液包や腱に炎症が生じることで痛みが出る。
6.オーバーユース(使いすぎ)症候群
ランニングやジャンプ動作の繰り返しによって筋腱や軟部組織が炎症を起こす。
治療は原因や重症度に応じて異なりますが、安静、薬物療法、理学療法(運動療法・ストレッチ)、装具の使用、注射治療などの保存的治療が中心です。重度の関節変形や損傷がある場合には、**手術療法(関節鏡手術、人工膝関節置換術など)**が検討されることもあります。
膝痛の予防には、日常生活での適切な体重管理、膝周囲の筋力強化、柔軟性の維持、正しい動作習慣が重要です。早期に適切な対応を行うことで、悪化や慢性化を防ぐことが可能です。