痛風(高尿酸血症)

●痛風(高尿酸血症)とは

 痛風(高尿酸血症)は、血液中の「尿酸」という老廃物が増えすぎることで起こる疾患です。軽症のうちは自覚症状がありませんが、放置すると激しい関節炎発作(痛風発作)や腎臓障害、尿路結石などの合併症につながるため、早期発見・治療が重要です。
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が「7.0mg/dL」以上の状態を指します。尿酸はプリン体という物質が体内で分解される過程で生じる老廃物で、主に腎臓から尿として排泄されます。
 痛風は、高尿酸血症の状態が続いた結果、血液中の尿酸が飽和して関節などに「尿酸結晶」となって沈着し、これが炎症を引き起こすことで発生します。痛風発作は特に足の親指の付け根などに「突然の激痛と腫れ」をもたらし、風が吹くだけでも痛むと言われるほど激烈です。男性に多く発症し、日本でも患者数は増加傾向にあります。

●痛風(高尿酸血症)の原因

 高尿酸血症や痛風の主な原因は次の二つに分けられます

尿酸が体内で作られすぎる(過剰生成)
 プリン体を多く含む食品(レバー、干物、魚卵など)の摂取やアルコール(特にビール)の過剰摂取、激しい無酸素運動、肥満などが関与します。

尿酸の排泄が不十分(排泄低下)
 日本人の多くはこちらが原因で、腎臓が尿酸を十分に排泄できないことで血中尿酸値が上昇します。体質や遺伝の影響も大きいとされています。

遺伝的な素因や生活習慣
 偏った食生活、飲酒、運動不足、肥満、ストレスも発症リスクを高めます。

●痛風(高尿酸血症)の症状

 高尿酸血症自体には自覚症状がありません。しかし尿酸値が高い状態が続くと、血液に溶けきらなかった尿酸が体内に結晶となって蓄積します。

痛風発作
 ある日突然、足の親指などの関節に激烈な痛み・腫れ・発赤が現れます(最も多いのは足の親指の付け根)。数日から1〜2週間続き、発作を繰り返すうちに他の関節へも広がることがあります。

慢性痛風
 発作を繰り返すと、関節の変形や痛風結節(皮膚の下にできる尿酸の塊)、腎臓障害(「痛風腎」)、尿路結石などの合併症リスクが高まります。

その他の合併症
 高尿酸血症は高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病と併発しやすく、心血管系疾患のリスクにも注意が必要です。

●痛風(高尿酸血症)の治療

 治療の中心は生活習慣の改善と薬物療法です。

生活習慣の改善
食事療法
プリン体を多く含む食品(レバー、内臓、干物、魚卵、ビール類)は控えめにし、バランスの取れた食事を心がけます。野菜、海藻などプリン体の少ない食品を積極的に取り入れ、糖質や脂質の摂り過ぎも避けます。

飲酒制限
アルコール、特にビールは尿酸値を上げやすいので量を抑えます。

水分補給
水分を多く摂り、尿量を増やすことで尿酸の排泄を促します。

運動習慣・減量
無理のない有酸素運動を継続し、肥満を防ぐことで尿酸値の維持が期待できます。ただし急激な運動はかえって危険です。

薬物療法
尿酸降下薬
尿酸値が下がらない、または痛風発作を繰り返す場合は医師の判断で「尿酸生成抑制薬」や「尿酸排泄促進薬」などが処方されます。

痛風発作時の対症療法
発作が起こった際は、痛みや腫れを和らげるため非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチン、ステロイドなどが使われます。

合併症の管理
高尿酸血症は心血管病や腎障害と合併しやすいので、血圧や血糖、脂質の管理も重要です。

 痛風・高尿酸血症は生活習慣の改善で十分に予防・管理できる疾患です。尿酸値が高いと言われたら、症状がなくても放置せずお気軽にご相談ください。

足痛疾患(日常よく見られる疾患)

*上記疾患は日常よく見られる疾患です。他の疾患が原因となっている場合もございますので、一度ご来院いただき、詳しく問診・検査を受けられることをおすすめいたします。