関節リウマチ

●関節リウマチとは

 関節リウマチは、関節だけでなく全身に影響を及ぼす自己免疫性の炎症性疾患で、発症すると関節の腫れや痛みが出現し、進行すれば関節の破壊や変形、機能障害を引き起こします。30~50歳代の女性に多くみられますが、どの年代でも発症する可能性があります。関節リウマチは、体の免疫系が自分自身の関節内の滑膜(かつまく)を攻撃してしまい、関節内に慢性的な炎症を生じる病気です。関節内の滑膜が異常に増殖し、炎症が続くことで関節液が増えて腫れや痛みが現れ、進行すると軟骨や骨そのものが破壊されてしまいます。
 最初は手や足の小さな関節に、左右対称に症状が現れることが多く、時間の経過とともに全身の関節へと広がることがあります。特徴的な初期症状は、朝起きたときの手足のこわばり(30分以上持続することが多い)、腫れや痛みです。
 この病気は関節の病変だけにとどまらず、微熱やだるさ、貧血、食欲低下などの全身症状もみられる全身性疾患です。


●関節リウマチの原因

 関節リウマチの正確な原因はまだ解明されていませんが、主に以下の要因が考えられています。

免疫異常
本来は細菌やウイルスを攻撃する免疫系が、何らかの原因で自分自身の組織(滑膜など)を攻撃します(自己免疫反応)。

遺伝的素因
特定の遺伝子をもった人が発症しやすいことがわかっています。

環境因子
細菌やウイルスの感染、歯周病、喫煙などが発症や悪化のきっかけになる場合があります。

ホルモンや年齢
女性ホルモンの影響も指摘されており、女性に多い傾向があります。

 これらの要素が複雑に絡み合い、免疫異常が引き起こされ発症すると考えられていますが、現時点では「原因不明の疾患」と位置付けられています。



●関節リウマチの症状

 関節リウマチの症状には「関節症状」と「全身症状」があります。

1. 関節症状
・手首・指・足など小さな関節に左右対称に腫れや痛みが出現(強く動かさなくても痛むことがある)。
・朝のこわばり(特に起床時に30分以上かかることが多い)。
・関節が赤く腫れ、熱感(発赤・腫脹・熱感)がある。
・進行すると膝や股、肘など大きな関節に広がり、最終的には骨や軟骨が破壊され関節の変形・脱臼・可動域制限・手指の変形(スワンネック変形など)や関節の脱臼が生じる。

2. 全身症状
・微熱、倦怠感、食欲不振、体重減少、貧血など。
・疲れやすい、体がだるいといった症状も多くみられます。
・まれに肺や血管、皮膚、目など内臓にも炎症が広がることがあります。

 病気が進行すると、腫れや痛みだけでなく、骨や軟骨が破壊され関節が強く変形し、日常生活に支障が出たり介助が必要になります。


●関節リウマチの治療

 関節リウマチの治療は「早期発見、早期治療」が重視されます。主な治療方法には以下があります。

1. 薬物療法(基本的治療)

抗リウマチ薬(DMARDs)
 関節リウマチの進行を抑えたり関節破壊を防ぐ薬です。メトトレキサート(MTX)が最も基本的な薬剤で、他にもサラゾスルファピリジンやレフルノミドなどがあります。

生物学的製剤
 免疫の異常に関連するサイトカイン(IL-6やTNFαなど)を標的とした新しい薬です。ピンポイントで炎症を抑えるため、従来の薬よりも高い効果が期待できます。

ステロイド(副腎皮質ホルモン)や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
 痛みや炎症を一時的に和らげるために使いますが、根本的な治療ではありません。


2. 補助療法

 関節へのヒアルロン酸注射やリハビリテーション(理学療法)、運動療法などが挙げられます。
装具療法、作業療法で日常生活の自立を支援します。

3. 手術療法
 症状が進行して薬物治療のみでは対応できない場合は、関節置換術や滑膜切除術など外科的治療も検討されます。

予防・生活管理
 現在、発症自体を予防する方法はありませんが、進行予防や症状の悪化防止には適切な休養と栄養、禁煙、歯の健康管理が重要です。

 関節リウマチは、早期発見・治療によって関節の破壊や障害を防ぐことができる時代になっています。手・足の関節の腫れや痛み、朝のこわばりなどに気付いたら自己判断せず、早めにご相談ください。

手指痛疾患(日常よく見られる疾患)

*上記疾患は日常よく見られる疾患です。他の疾患が原因となっている場合もございますので、一度ご来院いただき、詳しく問診・検査を受けられることをおすすめいたします。